筆塚の建立
2006年11月、理事長は生まれ育った足立区本木の地に私費によって「筆塚」を建立いたしました。
- 私は「読む力」は「生きる力」だと思っている。人は本を読むことで初めて考える力を身につけることができ、そこから一歩踏み込んで自分で推理していく力を養う。その過程があって初めて、自立心が育ち、自分の伝えたいことが具体的な形で書けるようになるのではないだろうか。
(中略)
「読む力」は「自立心」を仲立ちとして「書く」ことへとつながり、「書く」ことは「生きる力」へと結びつく。この「読む力」と「生きる力」の結びつきを象徴するのが「筆」であり、使い古した「筆」は、まさに人間の成長の証しと もなるのである。
こう考えれば、「筆」に感謝の念を抱くことはあっても、その筆をあだやおろそかに扱うことはできないはず。このことを自分に引きつけて言えば、今日の自分があるのは「筆」あればこそ、ということであり、これから自立してゆく子ども達にとって「筆」は、自らの未来を描く象徴的な手段でもあるということだ。 - 出典『断章』~あとがき・筆塚に寄せて
筆塚とは
筆塚とは、役目を終えた筆に感謝し、それらを供養するためにつくられた塚のことです。古く中国から伝わったもので、書の達人や文豪が残した筆塚は日本にもいくつかあります。生徒のみなさんも、使い切った筆記用具があったら、自由に筆塚を訪れ、感謝の心をもって筆塚に納めてください。
筆塚開眼法要(平成18年11月3日)
創立者 苅草國光先生の
筆塚に寄せる思い
この筆塚を見て、何と言っても目を引くのはその形です。まず一番上にあるのは、「毛筆」です。これは、中国から日本へ伝わった「漢字文化」を象徴しています。次にあるのが「鉛筆」です。これは「学問」「学習」の象徴です。学院創生期の子どもたちの「勉強したい」という思いと、苅草先生の私教育にかける情熱を表しています。さらに、台座の上には「万年筆」も置かれています。テレビに代表される映像文化が氾濫し、携帯電話による文字文化の崩壊が危惧される中で、文字文化の大切さを3本の筆が表しています。その上の「巻紙」には、苅草先生の私教育に携わって生きてきたことに対する感謝の言葉が記されています。巻紙は紙が尽きることなく続くので、私教育への思い・感謝が永らく続いていくようにとの祈りが込められています。
苅草学院・HOPE21・勁草学舎では、この筆塚開眼を機に、学べることへの感謝、ものに対する感謝の心を育む行事を開催したいと考えています。
吉祥院の筆塚
吉祥院(きっしょういん)の
筆塚を
訪れてみましょう
真言宗豊山派の寺、正応元年(1228年)の創建。
江戸時代には多くの末寺・門徒を抱え、区内でも18ヶ寺を数えています。幕府から朱印地5石を与えられ、正月、大僧正が江戸城に登城する際に使われた、葵紋のついた綱代駕籠もあります。