読書が楽しい

「分からない」からこそ、分かろうとする。それが元気の源になる。

約半年前、ふと立ち寄った本屋で目に留まった夏川草介さんの『スピノザの診察室』、そして続編の『エピクロスの処方箋』。この2冊を一気に読み終えて以来、私はすっかり医療系の小説に惹かれるようになりました。

もともと医療ドラマは好きなジャンルでしたが、最近手に取るのは、最先端医療や救命救急の現場を描いたドラマティックなものではなく、専ら「在宅医療」をテーマにした作品ばかりです。

自分の年齢が半世紀を超えたからでしょうか。あるいは、幸い健在である両親にも、そろそろ「そのとき」が訪れる可能性を感じるようになったからかもしれません。理由はともかく、私はそうした物語を心から面白いと感じ、気がつけばそちらの棚へ自然と手が伸びています。

最近読んでいるのは、南杏子さんの『サイレント・ブレス』という作品です。こちらも訪問診療を行う医師とスタッフ、そして患者さんとの人間模様が丁寧に描かれています。

病院のベッドで病気や怪我と闘い、医師たちが奮闘して命を救う。そうした華々しくかっこいいドラマとは違い、在宅医療の世界は「これからの未来を描くことは難しく、いかに最期のときを迎えるか」というゴールに向かう、少し地味な物語と捉えられるかもしれません。

しかし、そこには別の意味での、とても深く静かなドラマがある気がしてならないのです。「命を救う」ことと同じくらい、あるいはそれ以上に大きく、重要なことなのではないかとすら思います。

もちろん、私にはまだその答えは分かりません。もしかすると、永遠に分からないのかもしれません。でも、それでよいのだと思っています。

なぜなら、「分からないからこそ、分かろうとする」からです。 その分かろうとするエネルギーが元気を生み、私は今日も本をめくります。

ふと、「この感覚を、どうしたら生徒たちにうまく伝えられるだろうか」と考えながら読んでいる自分に気がつきました。答えの出ない問いに向き合い、考え続けることの面白さ。それが、学びの本当の原動力なのだということを。

そんなことを考えながら本を読んでいるとは、私も根っからの塾教師だなぁと、我ながら少しほくそ笑んでしまいました。

生徒の皆さんも、日々の勉強の中で「分からない」ことに出会うと思います。でも、それは立ち止まる理由ではなく、前に進むためのエネルギーです。これからも一緒に、「分かろうとする」時間を楽しんでいきましょう。

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